二枚目君モデル機
1/20スケールモデル製作記
2011年4月12日更新
二枚目君モデル機 1/20スケールモデル
2011年1月 製作開始
2011年3月11日 完成
機械加工時間 800時間超
製作時間 160時間超
概略寸法 幅 450mm、奥行 120mm、高さ 330mm
社長の提案でまた新たに二枚目君の模型を作りました。
台湾に協力会社があり、海外でもこの特殊コンベヤを売り込む為に現地の営業マンが営業をしているのですが、なかなか商品説明が難しく、また実機があるわけでもないので、せめて模型を持たせて商品説明をしようという作戦です。
最初、二枚目君と、Sコン(急傾斜コンベヤ)の2台をと言うリクエストだったのですが、社長の話を聞くうちに、別なアイデアが浮かびました。
以前作った大型二枚目君モデル機の『初期投入コンベヤ』。
これはもともとSコンを二枚目君に改造したものを想定した設計で、現在は他のモデル機のラインに組み込まれ、逆改造されてSコンになっています。
そこでこれをベースに部品の着け外しで、Sコンから二枚目君へのリフォームを模型化できないかと考えました。
少し改設計が必要ですが、どうやら実現可能と判断し、製作に掛かりました。
前回の大型二枚目君モデル機は1/30スケールでしたが、今回は高さ30センチくらいとのリクエストだったので、1/20スケールとしました。
材料は前回同様、フレームはプラ板、パーツの多くは主にレジンからの削り出し。ベルトはケント紙としました。
メインフレームは1mm厚のプラ板を切り出し、それに0.5mm厚のプラ板のリブを付ける事にしました。
正確を期す為、2枚のプラ板を一旦貼り合わせ、図面を両面テープで貼り付けて、ポイント毎に0.5mmのキリ穴を開けて、それをつなぐ様にプラカッターでカットしていきました。その為、左右で寸法差が生じず、概ね正確な形状に加工できたと思っています。
プーリ、モータ、軸受は前回同様レジンブロックからの削り出し。
このコンベヤを選択したのは前回加工データを作っていたから、データ加工の時間を省略できるだろうとの判断でした。
ところが、前回の模型製作直後にパソコンが壊れた事もあってデータが完全ではなく、かなりのデータを作り直す事になってしまいました。
それにパソコンが壊れた事をすっかり忘れていたものですから、データ探しに随分と手間取りました。
また、従来のデータは枠の設定をしていなかったので、そのデータ修正の必要もありました。
結果的にほとんどのデータに手を入れる必要があり、再製作しなければならないデータも多く時間内での製作が可能かどうか難しいところでしたが、なんとか形に出来ました。
CADデータを作って切削したものは、プーリ5個、ディスクプーリ2個、軸受16個、ベルトの横桟(クリート)、ローラブラケット、駆動モータ、振動クリーナなどです。
特に苦戦したのはベルトの横桟でした。
前回よりもベルトサイズが大きくなった為に、桟のサイズも大きくなり切削に工夫が必要となりました。
いろいろ考えた結果、1枚での削り出しは難しいと判断し、結局左右2枚に分けて切削し、接着剤で貼り合わせる事にしました。
最終的に約60組必要だったのですが、切削がうまく行かなかったりして、3回に渡って切削、これだけで約400時間を要してしまいました。
Sコン(急傾斜コンベヤ)のメインフレームに対して、二枚目君の特徴とも言えるサブフレームは改設計が必要でした。
もともと、メインフレームにローラブラケットのステーを溶接付けした構成だったので、これそのものを取り外し可能なフレームに仕上げる必要があったからです。
同時に付け外しの際に壊れたり、よれない様にするには、サブフレームそのものにも強度が必要なのでその為の工夫が必要でした。
そこで、押えベルトの間に5mmのプラ角棒で造った梯子状のフレームにベルトをはさみつける事にしました。
そして、このプラ角棒の前後にプーリを取付る事でサブフレームそのものの強度を維持出来るように工夫してあります。
ローラ類は全てエコロンローラ(会社で販売している樹脂製ローラ)仕様とし、実物に合わせてすべてスカイブルーで塗装しました。
ローラブラケットは前回はプラ板の曲げ材でしたが、今回は多少強度も必要なので、全てレジンからの削り出しです。
実際データから切削してみると、0.5mm厚では薄すぎて強度が出せず、切削厚みを0.8mmに増厚しました。
それでも、レジン材の強度は知れたものなので、全体として強度を保つ方法を考える必要がありました。
フレームの仮組みしてみて大体問題の無い事を確認。
その後、ベルトの製作に移りました。
コンベヤベルトは今回もケント紙を使用。
最初、じかに塗装したのですが、色のりが悪く、仕方なく一度タミヤのサーフェーサーを吹いてみました。
すると、ビックリするくらいの光沢が得られ、本物のゴムベルトそっくりの質感が得られました。
製作時間も迫っていたので、女房に手伝ってもらい押えベルトにはクリートを仮付けしてもらい、確認の上貼り付け押えベルト完成。
主搬送ベルトは幅切りをした黒ダンボール材の裏打ちの紙を剥がして貼り付け。
ベルトの屈曲に合わせて貼り付けるのが大変でしたが、何とか二日掛かりで仕上げました。
ベースは自宅にあったシナベニアを流用し、ニス仕上げにしました。
3月12日に協力会社が訪日旅行に来るので、その日行われるパーティに合わせて完成させたのですが、当然台湾に持ち帰るにはそれなりの梱包箱が必要です。
当初、アルミケースか、アタッシュケースの様な物を想定していたのですが、社長に相談したところ、
「パッキンケースでいいだろ。」
とりあえず、お国へ持って帰ることが出来れば良いという判断で、梱包箱を探しましたがちょうど良い物が無く、工場内にあったパッキンケースの段ボール箱がなんとピッタリのサイズでした。
そこで、ホームセンターで材料を物色した結果、
箱の中に発泡スチロールと、ボール紙で干渉材を作りつけ、これで模型を挟む様にして固定しました。
蓋は簡単に開かない様にする為に、マジックテープで取り付けて必要に応じて開閉出来る様にしました。
そして、ダンボール箱にも拘らず、持ち運びに便利な様に上部には取手もつけました。
自分としては、模型以上に良い出来になったと感じています。
苦労した模型なので、売り上げに貢献してもらえれば良いのですが…。
フレームの製作@ 図面を原寸で印刷したものをプラ板に貼り付けてポイントに穴を開けます
フレームの製作A 穴の開いたプラ板の穴をつなぐ様にしてプラカッターで切り出します
フレームの製作B 切り出したフレームにそれぞれリブを貼り付けていきます
フレームの製作C リブを貼り付けたフレーム(拡大)
フレームの製作D ヘッド部のシュート上部の製作。箱組みです
フレームの製作E 各部を結ぶ様に主材を入れ、トラス構造に仕上げます
フレームの製作F 設計変更して作ったサブフレームとそれをメインフレームに組み込んだところ
レジン切削のパーツを組み込んだところ
フレームの仮組み 切削して作ったモータ
軸受(ベアリングユニット)の製作 下面の切削 レジンを流して上面の切削
軸受の完成品 と ローラブラケット
成形して 塗装する為に両面テープを貼り付けたプラ棒に貼り付けます
フレームの製作G サブフレームの補強材 サブフレームの完成
フレームの製作H 塗装の完了したメインフレームとサブフレームを組み合わせたところ
ローラの完成
押えベルトに付くクリートの製作 テールプーリ周辺の完成状態
ベルトの貼り付け 主搬送ベルトへのフランジの取り付け途中
ベースを作り変えて完成直前(撮影時間は3月11日午前2時半!!)
梱包箱 ダンボール製しかも取っ手付き!
中を開いて中蓋を取ると・・・
こんな具合に収まっています
取り出すとこんな感じ
この模型の最大の特徴はやはり、取り外し式のフレーム
実際のコンベヤでもこれと同じリフォームが可能な事をPRできます
デティール写真集